もくもくプロダクトマネジメント( @Nunerm )

プロダクトマネジメント・エンジニアリングマネジメントなどについて黙々と

プロダクトマネージャーに必要な3つのもの 〜Produce Manager Conference 2019より〜

今年もプロダクトマネージャーの祭典"Product Manager Conference 2019"が開催されました。

 

参加者としてはほぼ皆勤賞ではあるのですが、今回は初めて運営メンバーとして関わらせていただき、こちらのセッションではモデレーターも務めさせていただきました。

2019.pmconf.jp

 諸事情によりこちらのセッションの内容はSNSシェアNGなので「めっちゃ緊張した」「登壇者のお二人の熱量が凄くて時間が足りなかった」と振り返るだけに留めて、ここからは2日間のセッションから得た学びを振り返ります。

 

全てのセッションを聞いたわけではないですが、「PMに必要なもの」に共通点があるような気がしたので、「3つのポイント」としてまとめました。

 

 

 

1.突破力

delyの坪田さんのセッションのタイトルにも「突破するプロダクトマネジメント」とあるように、突破力、つまり様々な壁をなんとかして突破する力が必要だという話が多く聞かれました。

 

坪田さんのセッションでは「早く、正確に、不確実性を潰せるチームを作る」べく様々な壁を突破する工夫の話がありました。特にPMが単なる何でも屋や中間管理職になるのを避けるために、採用を工夫してリソースの問題を突破したり、ものづくりにおける100点基準をチームで合わせて品質の問題を突破したりと、具体的な打ち手が非常に参考になりました。 

 

また杉浦さん/土屋さん/丸山さんのパネルディスカッションでも、欲しいPM人材として「スキルがなくても結果的になんとかしてしまう人」を挙げられていたし、LINEの二木さんのセッションでも

必要なスキルの理解をし、
自分足りないところを把握して、
足りない部分を補完できる人が誰か知っていて、
協力を誘発できる人が圧倒的に強い

とまとめられていました。

スライド公開されてます。オススメです。

 

つまり何でもできるスキルを持つPMなんて存在しないので、個人や組織に足りない部分を把握して補いながら(多少強引にでも)物事を前に進めていく能力、まさに「突破力」が求められます。

 

 

加えて、Hakaliの小川さんSmule, Incの曽根原さんのセッションでは「PMにとってデータを直接扱って活用していくのはマストスキル」とありました。突破する際に強い武器になるデータを扱うスキル(SQLなど)は持っておくべきです。

 

 

 

2.信頼

初日の冒頭のKeynote Sessionで、あのINSPIREDの著者であるMarty Caganが「PMにとって重要なのはTRUSTだ」と言ったのを発端に、その後のセッションでは至る所で「信頼」に言及されていました。

 

Marty Caganは

 "to serve the business"、つまり会社の何かしらの目的を達成するためだけの機能組織である"Feature Team"ではなく、

"to serve the customers, in ways that meet the needs of the business"、つまりユーザーに向き合って問題を解決していく"Empowerd Team"になることが必要と言っていました。

成功していない企業はプロダクトチームが"Feature Team"であり、それは経営層から信頼を勝ち得ていないのが原因とのこと。

 

またTransferWiseのKaarel Kudduも、

Best way for us to move quickly and sustainably.
Decisions made closer to the customers, in the teams
No committees, management meetings to decide product plans, roadmaps, strategy
We trust teams to make right decisions. Or learn from wrong ones.

つまりお偉いさんが集まる戦略会議などではなく、ユーザーに一番近いプロダクトチームが全ての意思決定ができるように信頼を得ることの重要性を語りました。たとえ間違ってもそこで学んで成長すればよいと。

 

杉浦さん/土屋さん/丸山さんのパネルディスカッションでも「信頼を構築できていないPMは、どんなに前職で活躍しててもワークしなかった」という話がありました。そもそも「リーダーシップを備えている人は権限など与えなくても勝手に信頼を構築していく」とも。

 

 

プロダクトと結果に対して責任を持ち意思決定の自由を得ることが最大のパフォーマンスを発揮する秘訣ですが、その前にまず組織内での信頼を勝ち取ることが必要なのです。

 

 

3.考え抜く力

10xの矢本さんのセッション(個人的に今回のベストアクト)では、金言が飛び出ました。

権威的な事例から導かれた定説は自身のプロダクトの成功とはほぼ無関係
自分のプロダクトとユーザーに向き合ってUnconsensus rightを自ら探すしかない

 

※ご本人にブログで解説いただいているので一読をお勧めします。

yamotty.tokyo

 

デザインシップの広野さんはPMの仕事を指揮者に例え、プロダクトの「解釈」、つまりプロダクトが目指す姿や何のために存在するのかなど、プロダクトチーム全員の共通認識となる抽象的な指標を定義し、それをメンバーに伝えてコントロールしていくことがミッションであると語っていました。

これにはじっくり時間をかけてユーザーやマーケット、社会と向き合って考え抜く必要があります。

 

最後の馬田さん/佐藤さん/曽根原さんのパネルディスカッションでも「自分のアイディアを批判できるほどの多様な視点と観察力を持つ必要がある」とありました。つまり一側面だけでなく、様々な視点から考え抜く力が必要なのです。

 

 

つまり、定説や人の意見、世の常識などに頼るのではなく、ユーザーに向き合って自分たちで考え抜くことがPMにとって必要な力です。

 

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これ以外にも様々なノウハウやエピソードなどを聞くことができたし、ネットワーキングでは様々な人とお話ができ、盛り沢山の2日間でした。

当日の模様はtogetterにまとまっているので、覗いてみてください。

 

1日目
2日目
スライド

 

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余談:初めて運営側に回ってみて

 

 

今回運営に参加させていただいたのは、実行委員の丹野さんから「モデレーターやってみない?」とお声がけ頂いたのがきっかけです。こんな大きなイベントのモデレーターなんてやったことないですが、シンプルに「面白そう」と思い受けさせていただきました。

 

実際モデレーター以外のタスクはほとんど無かったのですが、裏側から見てて感じたのは「運営めっちゃ大変やん…」です。今回参加者も登壇者も爆増し、会場も新しくなり、さらにセッションがマルチトラックになったので、想定外のことが多々起こります。

 

それでも少しでも多くの学びを持ち帰れるイベントにするべく、実行委員の方々は奮闘してました。2日目の後に行われた打ち上げ(という名の反省会)ではKPTっぽいことが行われ、早くも次回の構想の話も出てきました。やはり優秀なPMの方々の集まりなので、振り返りが非常に客観的かつ冷静でした。

 

というわけで来年もご期待ください。自分もまた何かしら関わっていきたいと思います。もし要望とかあればコメントやDMで教えてください。 

 

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最後に、Marty Caganのセッションで紹介された、スティーブ・ジョブズエリック・シュミットジェフ・ベゾスたちの共通のコーチだったBill Campbellの名言を書いておきます。良い言葉。 

 

  ”Leadership is about recognizing that there's a greatness in everyone,
  and your job is to create an environment where that greatness can emerge." 

 

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