もくもくプロダクトマネジメント( @Nunerm )

プロダクトマネジメント・エンジニアリングマネジメントなどについて黙々と

「組織内の視界の重なり」についての考え方の変化

ありがたいことに、こちらのestieさんの記事に、自分が6年前に書いた記事を引用していただきました。

www.estie.jp

 

いい機会なので、6年前の自分の考え方が、時を経てどう変わったのかを棚卸するために、この記事を書いてみることにしました。

 

 

引用していただいた記事はこちら

productmanager55.hatenablog.com

 

この記事をChatGPT先生に要約してもらった内容がこちら

  • プロダクトマネージャー(PM)に求められるスキルや考え方は多岐に渡り、出身背景も様々である。
  • 組織や市場によって求められるPMの役割やスキルは異なる。例えば、アメリカでは技術力を持つPMが求められ、中国では新たなニーズを見つけ出す能力が求められる。
  • PMの役割は一概には言えず、組織内で求められる役割を理解し、自身のスキルと照らし合わせて目指すべき姿を定義することが重要。
  • 組織の「視力」を理解することが、どのように組織内でPMとして動くべきかを知る鍵となる。
  • 「視力」は、問題解決のためにどの程度問題を詳細に見て本質を理解できるかという能力を示す。これは「視野」、「視座」、「視点」という3つの要素によって形成される。
  • PMは組織やプロダクトの状況に応じて、自分の強みと弱みを理解し、目が届いていない部分を特定して適切な戦略を立てることが求められる。
  • PMはステークホルダーとのコミュニケーションでも、相手の視点を理解し、適切に調整することが必要である。

 

 

6年経った今も基本的に考え方は変わっておらず、PMは環境に合わせて求められることが変わるし、その環境の中でどこを重視するかも状況によって変わると思ってます。その「環境と状況の客観視」と「戦術眼」が究極的にPM、特に組織マネジメントも担うPMに求められることなのかなと思います。

 

ただ、一点だけ考え方が変わった点があります。

当時の記事では言及してないですが、「視界の重なりは多ければ多い方がいい」と思ってました。一人一人の視界を広げることで、重なりが増えれば自律的で強い組織になる、コンテキストも共有できてコミュニケーションコストが下がるし、ボトムアップによる創造性が発生しやすいし、様々な観点で漏れなく考慮できて超強い組織になると考えていました。

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最近Xで話題になった以下の2件を見ても、「現場まで広く視界を共有できていれば効率的だし効果的だ」という風潮を強く感じます。

→元記事はもう内容が書き換えられてますが、元々は「プロダクトマネジメントは組織全員でやるべき」という論調でした

 

→論調としては「トップダウン = 非効率」「情報の非対称性 = 非効率」って感じですね

 

 

内容を否定する気は全くないのですが、「視界(情報やコンテキスト)を同じ理解度で共有できている状態は実現可能なのか、そしてそれは効率的/効果的なのか」という問いが湧き上がってきました。人間の認知負荷には限界があるので、その状態を作り上げ維持するコストも相当に高く、中途半端にやると逆効果になるのではないかと考えています。もちろん規模と複雑性の小さいドメイン・組織であれば実現可能だと思いますが、それこそAppleレベルの組織でそれを実現するのはほぼ不可能だと思いますし、トップダウンの方が効率的だと思います。

 

余談ですが、言ってしまえば、プロダクトマネージャーという役割は「人間の認知負荷の限界から生じた隙間を埋める仕事」だと思っています。上記の記事のように、組織全体でプロダクトマネジメントができれば不要な役割だとは思いますが、もうそれが現実的にできない、または効率が悪いからこの役割が求められているのではなかろうかと。

 

結果として、今は「デザインされた役割や情報の壁はあった方がいい」(=何でもかんでもオープンにして共有すればいいというものではない)という考え方にまとまっています。そのデザインされた壁の中であれば、存分にオープンかつ自律的な小組織を作るのが良いと考えています。そのデザインをやるのは、PMでもEMでもCOOでも誰でも良いと思うのですが、やる人がいないならPM自らやれば良いと思います。

 

当たり前っちゃ当たり前の考えで、だからこそこれまでの歴史の中で事業別組織や機能別組織が生まれてきたのですが、どうも最近無条件に「オープンかつ自律的 is better」と考える力学があるような気がするので、気をつけようと思います。

 

 

…という内容が、この記事に完璧にまとめられてました。

note.com

 

ここに書かれてる以下のような内容は、起こりがちだなと思います。

  • 自社が目指す自律的な組織とは何か?の共通認識が取れていない
  • 何のために自律的な組織を目指すのか?の共通認識が取れていない
  • リーダーが決めるべきことまで、現場に委ねてしまう
  • 変化の必要性がないチームまで変えようとしてしまう

 

 

 

というわけで、約2年ぶりにまともな記事を書いてみました。

自分の考え方の変化を客観視するために記事を書くのも良いですね。

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