もくもくプロダクトマネジメント( @Nunerm )

プロダクトマネジメント・エンジニアリングマネジメントなどについて黙々と

UX DAYS TOKYOイベント「次世代UI (VUI & CUI) 設計思想の基本」

少し前の話ですが、UX DAYS TOKYO主催のイベント 「次世代UI (VUI & CUI) 設計思想の基本」に参加してきました。

 

UX DAYS TOKYOとは?

 国内最大級のUXカンファレンス&ワークショップを主催する団体です。

 

VUI/CUIとは?

 VUIとは"Voice User Interface"の略で、CUIは"Conversational User Interface"の略です。

最近流行りのGoogle HomeAmazon Alexaのように声でコントロールし、かつ会話するようにインタラクティブにやり取りをするようなUIのことです。

 

 

ここでポイントとなるのは、目指すのはチャットボットではないということ。チャットボットは決まった言葉に反応するだけであり、コンテキストやIntent(真意)を理解しません。これからはNLP(Natural Language Processing:自然言語処理)によってコンテキストやIntent(真意)を理解することで価値を発揮する必要があります。

コンテキストやIntentのパートで紹介されたのが昨日の記事でも書いた"JTBD"という考え方です。こちらを参照。

「VUI/CUIにおいてはサービス設計が今までのGUIとは大きく異なります」と言われたのですが、あまりピンと来ていませんでした。

論より証拠、ということでワークショップが行われました。

 

 

ワークショップ

お題は大変ざっくりしていて、

  • VUI/CUIを備えた料理サービス
  • 一ヶ月後リリース予定(=ビッグデータの収集など仰々しいことはできない)
  • 外部デザインは変えられない(=センサーやグリルなどは付けられない)
  • 対象を肉or魚or野菜のうちから一つ選ぶ

という感じでした。

 

パッと思いつくのはレシピ検索サービスだけど、それじゃVUIである必要がありません。

そこで出た案が「料理できない一人暮らしの学生が、田舎のお母さんに料理のやり方を聞く感じ」でVUI設計をするというもの。

 

ユーザー:「いい肉が手に入ったんだけど」

ロボット:「何の肉ですか?」

ユーザー:「牛肉。ステーキ用。」

ロボット:「何人で食べますか?」

ユーザー:「一人。」

ロボット:「にんにくが好きですよね。ガーリックステーキはいかがでしょうか」

ユーザー:「いいねそれ」

ロボット:「では作り方を説明します」

 

って感じです。

でも深堀りしていくとVUI/CUIの難しさを痛感してきました。

 

まずユーザーからのインプットの難しさ。GUIだとテキストボックスやラジオボタンなどでインプットをコントロールできるのに対し、VUIだとコントロールできないので、想定外のインプットが来たときの対応ロジックが難しい。Google Homeのように「ごめんなさい、お役に立てないようです」と切り捨てるのは簡単ですが、それではサービスとしてイケてなさすぎる。いかに狙ったインプットが来るようにユーザーをコントロールするか。これを考えるのが非常に難しいワークショップでした。

 

 

次にアウトプットの難しさ。レシピをつらつらと説明し続けても「覚えられねえよ!」となるだけなので、一つの手順ごとに会話する機能を考えました。

 

ロボット:「お肉に塩コショウを」

ユーザー:「おけ」

ロボット:「フライパンを中火に」

ユーザー:「おけ」

ロボット:「5分焼いてください」

 

のようなイメージです。

ただこれも難しく、例えば途中で「あ、その調味料ないんだけど、何を代わりに使えばいいの?」のように想定外のハプニングが起こったときに、一度脇道に入ると本筋に戻ってくるトリガーを決めないといけません。

また「5分焼いてください」の後に脇道に入られ、その間に5分経過してしまったらもう次は何をアウトプットすればいいのやら…というところでワークショップの時間が終わってしまいました。

 

 

というわけで全く完成はしなかったのですが、このワークショップでVUI/CUIの設計の難しさを感じることができました。やっぱりGUIとは大きく違いますね。

 

また大きな気付きとなったのが、VUI/CUIを設計するうえで大きな障壁になるのが「設計者の思い込み」であること。「恐らくユーザーはこう使うだろう」と思っていても絶対そうはなりません。VUI/CUIの場合は、そうならないユーザーへの対応をしっかり考えないといけないので、思い込みは危険です。

思い込みを少しでも減らすために、複数の人数でワークショップをしたり考えをシェアすることが大事、とのことでした。うーん勉強になります。

 

近々でVUI&CUIのプロダクトを作る予定はないのですが、仮にそういう仕事の機会があった際には、このことを肝に銘じて取り掛かろうと思います。

 

 

 ↓当日の様子です。一番手前のマスク男が私です。モザイクかかってますが…

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