もくもくプロダクトマネジメント( @Nunerm )

プロダクトマネジメント・エンジニアリングマネジメントなどについて黙々と

GLOBISのtoBプロダクトの面白さと難しさを語ろう

この記事はGLOBIS Advent Calendar 2021 の21日目の記事です。

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見ての通り、これまで我々が誇るエンジニアたちの技術寄りの記事が多い中、PMである私は空気を読まずに担当しているプロダクトについて語ります。

社会人教育という分野で、非デジタルの既存事業を持ち、グローバル展開までしているGLOBISならではの面白さや難しさを存分に語らせていただきます。

 

プロダクトの紹介

私が担当しているのはGLOBIS 学び放題/GLOBIS Unlimitedというプロダクトです。どちらもビジネスパーソン向けの定額制動画学習サービスで、歴史あるグロービスMBAで培ったノウハウを詰め込んだ良質な学習コンテンツを多く取り揃えています。

GLOBIS 学び放題は国内向け・日本語コンテンツを提供しており、既に動画は3,900本以上となっています。

hodai.globis.co.jp

GLOBIS Unlimitedは海外向け・英語コンテンツを提供しており、こちらはまだ立ち上げ期なので動画は125本ですが、かなり海外戦略に力を入れており今後もどんどん追加しいく予定です。

globisunlimited.com

 

上記の2つのLPはどちらもtoC向けのページで、知名度としてもtoCサービスが比較的高いかなと思います。ですが、実はtoB向け、つまり法人企業様向けにもサービスを提供させていただいております。

hodai.globis.co.jp

 

既に2,400社以上の企業様に導入いただき、様々な組織課題の解決のためにご活用いただいております。

私のチームでは、主に人事の育成担当者様が使う管理機能の開発や、先月ニュースリリースが出た外部LMSサービスとの連携など、法人事業に関わるプロダクト開発全般を担っています。

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プロダクトの紹介はこのくらいにして、このようなtoBプロダクトを開発・提供することの面白さと難しさ、そして我々がどのような工夫をしているかを、プロダクトマネージャーの立場から語っていきます。

 

面白難しポイント①:ユーザーの課題が多種多様である

我々の顧客は法人企業様ですが、そこには大きく分けて3種類のユーザー(人)が存在します。

  • サービスの導入を決める意思決定者(主に人事部門の責任者様)
  • 学習促進や進捗管理を行う管理者(主に人事部門の担当者様)
  • サービスを利用して学習をする受講者(社員の方々)

 

そして、各企業様の解決したい課題は多岐に渡ります。

  • 管理職の中から次世代の経営人材を育てたい
  • 組織に自ら学ぶ文化を醸成したい
  • タレントマネジメントに活用したい
  • 企業研修の効果を上げるために予習・復習教材として活用したい など

 

また、それぞれの顧客の組織の状況も異なります。

  • 既に自ら学習する文化がある組織
  • これから自ら学習する文化を作り上げたい組織
  • 既に育成プロセスが構築されており、そこにGLOBISのサービスを組み込みたい組織
  • 育成プロセスは無く、GLOBISのサービスを基点として構築したい組織

 

さらに、我々は海外市場にも挑んでおり、日本と英語圏では育成事情が異なります。特にアメリカの大企業では育成プログラムとLMS(Learning Management System)が構築されていることが普通であり、そこの生態系にうまく入り込めないと検討のテーブルに上げてもらうことすら難しくなっています。

 

 

このように「ユーザー」と一言で言っても、バックグラウンドやコンテキスト、課題の種類などが多種多様です。こうなると、単一のペルソナを定義してそこだけにフォーカスする戦略は取れません。だからと言って、全変数を考慮したペルソナ定義は非現実的です。

よって、我々のチームでは取り扱う変数を絞ってペルソナ定義をしてみました。

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ユーザーインタビューの結果や営業・カスタマーサクセス部門に溜まっている情報を基に、解決するべき課題(ジョブ理論でいうところのジョブ)やソリューションの選択との因果関係が強い変数を絞り込みます。さらにその絞り込んだ変数を「Why/Whatに関わるもの」「Howに関わるもの」に分類します。(前者が☑️、後者が△)

上記の図の「受講者規模」を例に挙げてみます。(左から五番目)

受講者規模によってソリューションの選択は確かに変わり、大人数の場合はグループ作成機能や受講履歴一覧機能などで利便性や視認性が強く求められます。しかし、これらの機能で解決したい課題は「受講状況を正確に把握し、学習活性の効果を評価し、ネクストアクションにつなげたい」であり、それは受講者規模には関係ありません。少人数の組織でも同じ課題になります。つまりこれは「Howに関わるもの」です。

この「Howに関わるもの」は機能レベルの要件ではもちろん考慮が必要ですが、もう少し抽象的なユーザーストーリーレベルでは「How/What」に着目したいのであまり考慮しないようにしています。

 

このようにして、多種多様なユーザー属性をある程度抽象化して考慮すべき情報を意図的に削った上で意思決定をしていく工夫をしています。もちろんこの定義は不変ではありません。実際にデリバリーを繰り返して評価していく中で、思った通りの結果が出なかった場合はこの定義を疑って見直しています。

この点は難しく大変なポイントではあるのですが、世界中の様々な企業の組織成長の課題に向き合うという取り組みは非常に面白いと感じています。これによってより価値を増幅し世界の企業の組織成長に貢献できたら、本当に素晴らしいことだと思います。

 

 

面白難しポイント②:学習の活性化

我々のサービスは「導入したらすぐに効果が出る」といった類のものではありません。学習する機会やコンテンツを提供することはできますが、実際に社員の方々に学習していただくには「学習の活性化」が欠かせません。以下の図やこちらの記事のように、管理者の方に促進活動を行なっていただく必要があります。

ただし、人事の方は忙しい方が非常に多いため、なるべくここは省力化したい業務になります。

 

そこで、ほっといても学習活性が実現できる、スーパー学習活性機能を提供させていただきます!(´∀`*)

 

…と、言いたいところですが、こちらも非常に難しいポイントがあります。というのも、①で書いた通りユーザーの課題や状況が多種多様なため、どのような学習活性が効果的なのか簡単に選択できないのです。

例えば、能動的にサービス利用を選択した社員の方と、人事に言われて受動的にサービス利用をしている社員の方では、全くモチベーションが異なるため伝えるべきメッセージも変わってきます。toCプロダクトであれば、ユーザーは基本的に自らの意思で課金をした、つまり能動的なユーザーで占められていますが、我々のtoBプロダクトはそうとは限らないのです。前者には「次はこのようなコンテンツがオススメです!」というメッセージが効きそうですが、後者には「今月中に3つのコースを受けてみましょう」というメッセージが効きそうです。

しかし、我々はこの社員の方のモチベーションを区別できません。人事の方であればある程度把握できるかもしれませんが、現時点で我々が保持しているデータからの推測は難しいです。要は「ノリノリで学習しているのか、渋々学習しているのか」が学習履歴からはわからないのです。

 

ここはまだ我々が未熟なところで、今後定性データの取得や分析などを活用して進化させていきたいポイントになります。余白だらけってワクワクしますよね。

 

 

面白難しポイント③:導入効果の評価

ここが最大の難所です。GLOBIS 学び放題/GLOBIS Unlimitedを導入いただく法人企業様の目的は「組織成長」です。つまり「今の状態より良くなっていること」が求められます。

 

では、それをどうやって評価すれば良いのでしょうか?

 

例えば会計系のSaaSであれば「削減された業務時間」がわかりやすい評価軸かと思いますが、我々のサービスにおいてはわかりやすい数字がありません。もちろん「学習量」「学習頻度」のような数字はありますが、本当に追い求めるべき指標は「学習をした結果、社員あるいは組織がどう変わったか」になります。

しかし当然ですが、人や組織が変わる・成長する要因は学習だけとは限りません。現場での経験やマインドセットの変化、外部環境の変化など、様々な要因によって起こります。我々が提供させていただいた学習機会やコンテンツがどのように貢献できたのか提示できれば、より効果的な活用方法を示すことが可能になりますが、顧客の社内事情を細かく把握できないため、なかなか難しいのです。

現時点では営業やコンサルタント、カスタマーサクセスによるヒューマンタッチでここをサポートさせていただいておりますが、プロダクトマネージャーとしてはプロダクトでもここに貢献できないか挑戦してみたいと思っています。これからグローバル展開に注力し顧客数を爆発的に増やそうとしている我々にとって、人によるサポートに頼ってばかりではいけません。

 

これまでもβ版機能として「テスト機能」や「アンケート機能」などリリースして検証をしていますが、まだまだブラッシュアップする必要があります。これも難しいけれど楽しみな挑戦です。

 

 

 

おわりに

いかがだったでしょうか?「難しそう、やだな〜」と思いましたか?

 

私は「めっちゃ面白そう!やったるで!」と思うタイプですd(゚∀゚d)

 

確かに難しいポイントが多く、まだまだできていないことも多いですが、これからの工夫や頑張りで新たな価値を提供できるようになると確信しています。

 

 

もし「面白そう!もっと詳しく聞いてみたい!」と思われた方は、私のTwitterのDMMeetyからご連絡いただければお話しさせていただきます。お気軽にどうぞ!

また「ここで働いてみたい!」と思っていただけたら、こちらの採用ページから応募いただけるととても嬉しいです。全方位で積極採用中です!

recruiting-tech.globis.co.jp

 

さらに、1/12(水)にEd-Tech企業が集まるMeetupを主催させていただきますので、こちらにもどしどしご参加ください!

connpass.com

 

最後に我々の組織紹介資料を置いておきます。

speakerdeck.com

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