もくもくプロダクトマネジメント( @Nunerm )

プロダクトマネジメント・エンジニアリングマネジメントなどについて黙々と

心理的安全性を0から80ぐらいに上げた話

心理的安全性について話したLTのスライドがバズった…!

www.slideshare.net

 

Roppongi Product Manager Meetup #6のLT枠で発表したこのスライドがはてブTwitterでちょっとバズったので補足記事を書きます。

スライドだけでは伝えられない部分も多くあるので。

 

b.hatena.ne.jp

 

 

 では始めます。

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話したいのはこれです。なぜ「80ぐらい」なのかはあとで説明します。

 

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心理的安全性はGoogleのre:Workというサイトで以下のように説明されています。

 心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味します。

(引用元:re:Work - ガイド: 「効果的なチームとは何か」を知る

 効果的なチームを作る5つの要素で最も根幹となる重要な要素です。

 

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私がとある組織にPMとして配属になった時の話です。事業・プロダクトを作るステークホルダー全体の心理的安全性が低く、偉い人の大きい声に対し、各々が文句を心の中にしまいながら従うような組織でした。もちろんこんな組織から良いプロダクトは生まれません。

よく書籍やサイトでは「明るく話す」とか「雑談する」といったようなノウハウが紹介されていますが、そのレベルの取り組みでは何も変わらないことがすぐにわかりました。実際少しやってみたのですが、メンバーの「自己否定感」が強くて何の手応えもないのです。

なので根本から立て直すための挑戦が始まりました。

 

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3つのポイントと目指す姿はこちらです。1つずつ説明します。

 

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まずはとにかく情報収集です。多くの関係者と1on1をしてヒアリングをします。

ここでのポイントは以下3点です。

  • 管理職・マネージャーではなく一般職・メンバー、或いは業務委託の方から聞く
  • 「何か困ってます?」のような抽象的な聞き方ではなく、「なぜこういう問題が起こったと思います?」という具体的な聞き方をする
  • そもそもやる気がない人の意見は無視する

 

ただ最初はなかなか問題の核心に迫れません。「自分が言っても意味ない」のようなただ自己否定をするだけの人も多かったです。「なぜ自己否定をするのか?」の本質を突き止めないといけないのです。

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本質に迫るためには小さいことから解決していきます。

正直何かを狙ってこの動きをしたわけではなく「本質がわからないから、とりあえず解決できることからやってみよう」ぐらいの意気込みでした。

 

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1on1と小改革を繰り返しているうちに、「あの人は解決してくれる人」というイメージが生まれ、1on1をセッティングしなくても不満や悩みを言ってくれるようになりました。

正直自分の仕事もあり時間が取られるのは辛いですが、そこは嫌な顔をせずに相談に乗ってあげましょう。

 

そうすると問題の本質が見えてきました。

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この組織の問題は「知らない」ということによる不安が共通していることが見えてきました。

多かったのは「誰が何を決めているのかわからない」という不安。決定事項について確認したくても決めた人を探すのも大変だし、決まっていることをひっくり返すと全体の進捗に影響するので、知らず知らずのうちに「何も言わないことがベスト」という意識になっていたのです。

よって「組織の意思決定プロセスの問題が根本原因である」と仮説を立てました。

 

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根本原因を「できるだけ仰々しく」解決しにいきます。

なぜか。「変わった」ということを関係者全員にアピールするためです。

心理的安全性が低い組織には諦めの精神が強く根付いています。ただプロセスを変えたからといって「どうせ今までと変わらないだろう」と思ってしまいがちです。

 

明治維新のごとく

「新しい時代の幕開けじゃ!」

と言わんばかりの仰々しさで変えにいくことが大事です。

 

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そうなるとPMはヒーローになります。

「再び不安になっても解決してくれる」「本音を受け入れてくれる」という存在になることで、心理的安全性の象徴になり、再び何か問題が起こってもすぐに情報が集まって迅速に解決に向けて動き出せます。

 

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その結果、こんな感じの組織になりました。建設的な議論が増えてプロダクトの品質も飛躍的に上がりました。

 

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繰り返しになりますが、

  • 1on1と小改革を繰り返すことで問題の根本原因を見つける
  • 根本原因を仰々しく大改革する
  • 不安を解決してくれるヒーローになる

というステップで今回は組織改革を達成することができました。

 

ただまだやることが残っています。タイトルを「80ぐらい」としたのは理由があります。

そう、偉い人です。

 

なぜ偉い人が「やれ!」と言うのか。そこにも不安があるからだと思っています。

部下がちゃんとやってくれるかわからない、部下に反発されるのが怖い…のような不安があり、その根本原因はまた別にあると思われます。

 

残りの20は「偉い人の心理的安全性を上げる」ことで満たされるはずです。これは引き続きトライしていきます。

 

 

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当日のLTでは時間がなくてざーっと流しただけですが、開発チームの心理的安全性を上げるために、もう少し細かい取り組みも行いました。

それの補足はこちらの記事に書いてあります。

productmanager55.hatenablog.com

 

 

まとめ

正直LTに臨む前は「この内容は刺さるのかな…?」と思ってたけど、こうしてTwitterとかでバズって色々な意見をもらえるということは、求められてる内容だったんだなと実感しました。

みんな組織に心理的安全性を求めていて、具体的にどう上げれば良いのか知りたいんですかね。

 

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