もくもくプロダクトマネジメント( @Nunerm )

プロダクトマネジメント・エンジニアリングマネジメントなどについて黙々と

プロダクトマネージャーの転職活動記

はじめに

2020年6月に株式会社CAMPIFREを退職し、株式会社グロービスに転職しました。

今回が3回目の転職なのですが、組織によって役割が異なるプロダクトマネージャーとしての転職には独特な難しさがありました。

そんな中、こちらの記事が非常に参考になりました。

note.com

というわけで、自分の経験も誰かの役に立てばいいなと思い、転職活動記を残します。

 

前提:経歴

自分の過去の経歴はざっくりこんな感じです。

  • Javaエンジニア(4年)
  • インフラエンジニア(3年)
  • プロジェクトマネージャー(4年)
  • エンジニアリングマネージャー(3年)
  • プロダクトマネージャー(2.5年)

過去3社(出向先を含めると4社)に在籍し、製造業企業の社内SE・大規模toCサービスのPjM・ベンチャー企業の新規事業のPdMなど、それなりに幅広く経験してきました。

 

 

前提:転職活動を始めた経緯

よりプロダクトに集中して全力投球したくなったためです。

前職では新規事業のプロダクトマネージャー兼「何でも屋」という感じでしたが、様々な事情によりあまりプロダクトマネジメントに集中できませんでした。如何せんまだまだ人の足りないベンチャー企業なので、ある程度プロダクトマネジメント以外の役割を担うことは仕方ありません。それ自体は全然OKで、実際に採用活動や人事制度の検討、カスタマーサポートなど本当にいろんなことをしてきました。しかし今後もしばらくこの状況が変わる見通しがなく、どちらかというと「何でも屋」の方の期待が高くなってきました。

そんな折に「やはりプロダクトマネジメントに集中したい」という思いが強くなり、2020年2月ごろから転職活動を始めるに至りました。

 

そして先に結果を記載しておきます。

  • 実施期間:4ヶ月(2020年2月〜5月)
  • 面談企業:12社
  • 応募企業:8社
  • 内定:3社

 

ありがたいことに3社も内定をいただくことができました。しかし全て順調に進んだわけではなく、途中で何度か躓いたポイントがありました。

ここからは進め方や躓きポイントを中心に振り返っていきます。

 

準備:企業選びの軸を言語化する

大前提として、プロダクトマネージャーは組織によって求められる役割が異なります。なのでスカウトや求人に「プロダクトマネージャー求む」と書かれていても、実態はプロジェクトマネージャーに近かったりそれ以外の役割が求められていたりしますし、得られる裁量も様々です。なので「プロダクトマネジメントができる企業」と抽象的な軸ではミスマッチばかり起こるので、ここはしっかり具体的に言語化しました。

自分の場合はこんな感じです。

  • プロダクトで勝負していること
  • PdMがプロダクトマネジメントに集中できること(ただし採用やチームマネジメントなど、プロダクト開発力の向上に必要な役割を担うことは許容できる)
  • 自分が目指す社会に近づくためのプロダクトであること
  • 様々な職種の人と越境してコミュニケーションが取れること

ちなみに「自分が目指す社会」というのは、「多くの人が活き活き働ける社会」です。ここはいくらでも長々と書けてしまうので割愛しますが、要は人が楽しく活き活き働くために必要なもの(組織・マネジメント・機会・キャリア観・学習など)を誰しもが得られる社会をプロダクトで実現したいのです。よって業界はHRTechやEdTechを中心に探しました。

 

準備:自分のスキルや成果を言語化する

過去の印象的なプロジェクトをピックアップし、その詳細とそこから得た自分のスキルを文章化しました。様々な質問に対応できるよう、8個ぐらいのエピソードを準備しました。その中には失敗したプロジェクトと失敗から得たものの話も含みます。

またストレングスファインダーやエニアグラム、前々職の360度評価の結果などから強み・弱みや思考の傾向をピックアップしました。

 

しかしここの準備が甘かったため、この後躓くことになります…(詳細は後ほど)

 

 

実施:転職サービスを選ぶ

今回は「受動的に探す」スカウトサービスと「能動的に探す」エージェントサービスの二種類を利用しました。

 

「受動的に探す」スカウトサービスは、どのサービスでどういう企業からスカウトが来るのかさっぱり分からなかったので、とにかく手当たり次第登録してみました。合計15個ほど登録したと思います。ただそのうち10個ほどはほとんど応募せずに終わりました。というのも、大半がエージェントからのスカウトで、信頼できるエージェントを見抜く難易度の高さと労力に辟易としたからです。どう考えても「経歴ちゃんと読んでないやろ」というメッセージばかり来るため、捌く労力が馬鹿になりません。なので企業からのスカウトが一定数来るサービスだけ残して、あとは利用をストップしました。

ちなみにプチ情報ですが、LinkedInは結構いいスカウトが来ました。今までイマイチ利用方法がわからず、今回初めてちゃんとプロフィールを書いてみたのですが、他のスカウトサービスではあまり見かけないような企業からスカウトが来たのでオススメです。

 

「能動的に探す」エージェントサービスでは、エージェントの方に希望を伝えて企業を紹介してもらったり、自分で調べて興味が出た企業を伝えて繋いでもらいました。上述の通り自分に合ったエージェントを探す難易度が高いので、プロダクトマネージャー仲間や人材業界にいた知人の口コミでエージェントサービスを2つ選びました。おかげで自分では辿り着けないような企業と出会えたり、エージェントの方から「少しだけ軸を変えた探し方」を教えてもらったりと、新たな発見も生まれました。

 

 

躓き:面接が通らない…!

上記のサービスを使いながら次々と面接が決まり順調に選考を進めていくのですが、二次〜最終面接で見送られるケースが続きました。

スカウトもそれなりの数が来てて「順調だな♪」と油断してたため、一気に焦り始めました。ただ自分でもよく原因がわからず、対策のしようがなかったため、利用させていただいていたエージェントサービスのクライス&カンパニーの担当の山本さんに相談してみました。これが効果てきめんでした。

ちなみに自分がクライス&カンパニーを利用した理由は2つあって、1つは冒頭に紹介した記事でもオススメされていたことと、もう1つは昨年のプロダクトマネージャーカンファレンスで登壇されており、プロダクトマネージャーの転職支援に強そうだったことです。実際その期待通りでした。

 

まずエージェントの方に1時間半ほどみっちり面談をしてもらい、ひたすら自分の話を聞いてもらったり模擬面接をしていただきました。その後に採用する側の視点から客観的なフィードバックをいただきました。また、顧問の及川卓也さんとの面談も(元々お知り合いだったこともあり)セッティングしていただき、及川さんからも2回に渡って丁寧なフィードバックをいただきました。

 

その結果、以下2つの問題が見つかりました。

 

問題:Why/WhatとHowに一貫性がない

採用側からすると、以下の3つに説得力と一貫性があって初めて「採用したい」と思えます。

  • Why:なぜその企業なのか(志望動機、転職理由)
  • What:何をしたいのか、何ができるのか(スキル、強み)
  • How:どう実現するのか(過去の経験)

WhyとWhatをいくら語ってもその根拠、つまり「それをどう実現するのか」「なぜそれを実現できると言えるのか」がなければ説得力がありません。根拠は基本的に過去の経験や実績を基に「こうやって実現するのだ(=How)」と示す必要があります。

同様に、Howだけ豊富にあってもWhyやWhatと合致してなければ長続きしない、あるいはミスマッチになると判断されます。つまりWhy-What-Howの一貫性が重要なのです。

 

自分の場合、WhyとWhatは準備フェーズで言語化した「企業選びの軸」でしっかり説明できており、この部分はそれほど問題点はありませんでした。しかしHowがダメでした。自分のWhatに役立たないHowの説明ばかりしていました。極端な例でいうと、プロダクトマネジメントの根拠を聞かれているのに、プロジェクトマネジメントの経験を説明している、といった感じです。

こうなってしまった理由は、アピールをしたい気持ちが空回りして、自分の頭の中で無意識のうちに「成果の大きさ > 一貫性」という優先度でストーリーを選択していたためです。相手にインパクトを残すために大きな成果を伝えるのは有効ですが、期待されている回答にそぐわなければいくら大きい成果も意味がありません。

 

なので再度過去の経験とそこから得たスキルの棚卸しをし、Why/Whatと一貫性のあるHowのストーリーに組み替え直しました。もちろん一貫性を保つために嘘のストーリーをでっち上げるわけではありません。あくまで着眼点と伝え方を変えるだけです。

 

 

 

問題:プロセスのアピールになりがち

これは及川さんに強く指摘していただいたのですが、成果ではなくプロセスのアピールをしがちでした。

プロダクトマネージャーとして求められる成果は「プロダクトの成長」です。実際にどれだけプロダクトが成長したのか、それに自分がどのような形でどれだけ寄与したのかを語る必要があるのですが、自分の場合はやたらと「やったこと」、つまりプロセスばかり詳細に語る癖がありました。それに比べてプロダクトの成長にまつわる話が弱いため、最終的にインパクトが残らない話になってしまっていました。

 

こうなってしまう原因を及川さんにズバッと指摘していただいたのですが、「自己肯定感」が低いことでした。ガッツリ自覚はありまして、自分はネガティヴドリブンで人と比較して「自分はまだまだだー!」と焦りを覚えることでモチベーションが高まるタイプです。なので自分の成果を「凄い」と思ったことがあまりなく、どちらかというと「まだまだ上には上がいる」とか「自分の成果ではなくチームの成果」と思ってしまうので、自信のない成果よりも事実であるプロセスを話しがちなのです。

ですが面接ではそれではダメなので、自分の主観的な評価はいったん放り投げて、とことん過去の成果を客観的に評価し、ストーリーもプロダクト主体で話すようにしました。

 

ざっくりイメージとしてはこんな感じです。

Before)

「〇〇という問題に対して〇〇と〇〇と…をしたので、プロダクトが○%伸びました」

After)

「〇〇の取り組みによって、プロダクトに〇〇という価値が加わり〇〇が変わり…最終的に○%伸びました」

 

 

どちらの問題も今考えれば当たり前のことなんですが、自分一人でやっていると意外と気づけないものです。今回エージェントの方や及川さんに何度も面談やメールでのやりとりをしていただけたことで、気づくことができました。

 

再開:内定3社

軌道修正後はスムーズに面接が進むようになり、一部コロナの影響などで採用枠が無くなった系のお見送りもありましたが、最終的に3社の内定をいただくことができました。

どれも大変魅力的ではあったのですが、悩みに悩んでグロービスを選びました。

ちなみにここで選ぶ際に参考にしたのが、科学的な適職という書籍で紹介されていたマトリクス分析/ヒエラルキー分析で、ざっくりいうと以下の項目で候補企業ごとに相対的な点数をつけていく方法です。

自由:その仕事に裁量権はあるか?
達成:前に進んでいる感覚は得られるか?
焦点:自分のモチベーションタイプに合っているか?
明確:なすべきことやビジョン、評価軸はハッキリしているか?
多様:作業の内容にバリエーションはあるか?
仲間:組織内に助けてくれる友人はいるか?
貢献:どれだけ世の中の役に立つか?

人間は非合理な生き物なので、何か一つ優れた点を持つ企業に対して、それ以外の要素についても「同様に優れているだろう」と勝手に判断してしまいます。例えば、イケてるプロダクト開発の話がWebメディアに掲載されていたから「全体的にイケてる組織だろう」と思いこんでしまいがちですが、もしかしたらそれは一部の話で、自分の採用ポジションは全く異なる状況かもしれません。こういう思い込みを排除して客観的かつ画一的な評価を行うことができます。

とはいえ、結局は各点数を決める際は主観がガッツリ入ってしまうので、バイアスを完全に排除するのは不可能です。あくまでバイアスを少しでも減らすことができればいいな程度の取り組みだと思ってください。

 

 

 

以上がプロダクトマネージャーの転職活動記でした。少しでも参考になれば幸いです。もっと詳しく聞きたい方はTwitterでDMくれれば、可能な範囲で答えます。

なお「実際入ってみてどうだったのか」は、いずれ気が向いたら書きます。

 

最後におまけコンテンツとして、面接時によく聞かれた質問をリスト化しておきます。

 

おまけ:よく聞かれた質問

  • なぜPMをやりたいのか
  • なぜ入社したいのか/何を成し遂げたいのか
  • 企業選びの軸
  • 今選考中の企業全てに受かったとしたら何を基準に選ぶか
  • 今後のキャリアプラン
  • 仕事のモチベーションは/テンションが上がることは
  • 仕事の中でストレスに感じることは/テンションが下がることは
  • 現在担当しているプロダクトについて
  • 過去一番印象に残っているプロジェクト/プロダクトは
  • なぜエンジニアからPMになったのか
  • PMとして大事にしていること
  • エンジニア/デザイナー/セールスとのコミニュケーションで気をつけていること
  • どういう組織を求めているか
  • どういう役割を任されたいか/任されたくないか
  • 突然の変化にどう対応するか
  • 手元に情報がない場合どう行動するか

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